腰椎分離の小学生野球選手と―“動ける體”を諦めないという選択

ご縁をいただいて、和歌山へ

週末、ご縁をいただき、和歌山県まで出張で指導に行ってまいりました。対象は小学四年生の男の子で、野球をしている選手です。

医師の診察で腰椎の一部に剥離(分離)が見つかり、「捻転禁止・安静に」という診断を受けている状態でした。けれど本人に痛みはない状態です。

「安静」の中でも、體は動いている

診断を聞いて私が最初に考えたのは、「安静にしてください」と言われていても、その子は毎晩、寝返りをしているはずだ、ということでした。

寝返りというのは、寝た状態で體全体が連動して転がる、いわば最も負荷の低い「捻転」動作です。

そこで、私は手足を使わずに、仰向けとうつ伏せを交互に繰り返すような形になるトレーニングをしてもらいました。負荷を低く、手足を浮かさずコロコロ転がります。

これは、機能を新しく作るのではなく、すでに體が日常的に行っている機能を、丁寧に引き出すという考え方です。

立位を整える―ドローイングを「骨格調整」として伝える

次に行ったのは、立つ姿勢の調整です。

いわゆる「ドローイング」(腹圧を使ったお腹の引き込み)を、その子には「骨格調整」、つまり骨盤の角度を正すための動きとして彼とお父さんに体感してもらいながら、説明しました。

それから、立位でその角度が整ったところで、バスタオルを使ったトレーニングを行いました。タオル一本で、骨盤の角度が整った状態と整っていない状態とでは、體の使われ方が大きく変わることを感じることが出来ます。同じ動きでも、出発点となる骨格の位置が整っているかどうかで、その動きが「機能」として體に効いてくるか、無駄になってしまうかが決まる、ということを知ることも出来ます。

バランスボールで―ホッピングのみ

骨格の位置を整えた上で、最後にバランスボールを使ったトレーニングも行いました。今回は腰への負荷を考慮し、動きはホッピング(その場での小さな弾み)のみに絞りました。

捻転を伴わず、上下方向の弾みだけでも、體幹や下肢の連動を引き出すことができます。派手な動きでなくても、土台が整っていれば機能は引き出せる、という今回のテーマそのものを體現するような時間でした。

安静の期間にこそ、出来ることがある

「安静」と「何もしない」は同じではない、ということです。

医師の指示は最優先で守るべきものですが、その範囲の中で、體がもともと持っている機能―寝返りのような自然な動き―を丁寧に引き出していくことは、決して矛盾するものではありません。むしろ、こうした時期にこそ、骨格の位置や體の使い方を見直す良い機会になることもあります。

今回関わらせていただいたご縁に感謝しつつ、この子の腰の状態が落ち着いた後、また野球の動きの中でその機能が発揮されることを楽しみにしています。

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