ハンドボールをしている小学生のお父さんから依頼がありました。
「息子の動きが鈍臭いから見てほしい。動き出しが遅いし、キャッチボールはようやく出来るようになってきたけど、今後の練習ポイントも教えてほしい。」
ポジションはゴールキーパーで、具体的には「ボールへの反応が遅いこと」と「頭の上に来るボールが取れないこと」を改善してほしいとのことでした。
ハンドボール未経験者にも関わらず、こんなに具体的な依頼をしてもらえるのは、信頼関係があってこそだと思います😆
小学5年生から関わり始め、小学6年生卒団までの記録をまとめてお届けします。
まず「立つ」ところから始まる
小学生も大人も、はじめの一歩は立ち方です。
立位のチェックをすると、よろけて安定して立てていない状態でした。
そこで正しい立ち方を伝えると、小学生でも3分足らずで安定して立てるようになり、それ以降は一切よろけなくなりました。
お尻歩きは最高のトレーニング
立ち方の次は、お尻歩きです。
まず「手を使わず長座で座ってみようか」とやってもらうと、ドシンと尻もちをついてしまいました。何回か繰り返すうちに座ることはすぐ出来るようになりましたが、手を使わずに立つ方が難しかったようで、本人が自分から繰り返し繰り返し立ち座りを繰り返していました。
「もう一回やってみて」と言われたので手本を見せて、イメージをしながらひたすら挑戦していました。
出来なかったことが出来るようになる喜びは、自然と鍛錬へ導くんですね。
その後のお尻歩きはみるみる上達し、狭い室内でのキャッチボールでも、いい球が投げられるようになっていました✨
ボールを「取る・投げる」の基本
正中線上でボールを取る
ボールへの反応速度やジャンプ力を上げる前に、まずボールを取って投げる基本動作が必要です。
そこで取り組んだのが、正中線上でボールを取ることです。
左右に飛んでくるボールも、飛球線上に回り込むのではなく、自分の向きを変えて正中線(體の中心線)でキャッチします。文字にすると難しそうに聞こえますが、この方が圧倒的に楽です。これが身につくと、目ではなく胸でボールを捉えられるようになり、コントロールも高度なフェイントも自然と使えるようになっていきます。
自分が動いて投げる
投げる時の基本は、ボールを動かすのではなく、自分が動いて投げることです。
「ボール」を「水の入ったコップ」に置き換えると分かりやすいです。コップの水をこぼさないよう、自分が動いてボールを投げる位置まで運ぶイメージです。それが腕だけで投げようとすると水がこぼれてしまいます。
ただ体幹が硬いと自分でボールが止まっているかどうかの感覚自体が分からなくなります。そういう場合はひたすら動作練習をするよりも、柔軟性トレーニングで体幹をほぐす方が早く感覚が戻ってきます。
「それって本当に鈍臭い?」——タイプの違いが生む誤解
お父さんが息子さんを「鈍臭い」と感じていた理由のひとつに、ボールをキャッチしてから投げるまでの動きの多さがありました。
ところが、これにはちゃんと理由がありました。
お父さんはと息子さんでは體内リズムが違うことが理由でした。4スタンス理論(個体差で體の使い方が違うという骨理学)の中で投げるまでの準備が最も速いのがお父さんのタイプで、最も時間をかけるのが息子さんのタイプでした。
自分と同じ動きにならない子どもが「鈍臭く」見えていただけで、息子さんは息子さんのリズムで動いていたのです。
この説明をしたら、お父さんはすっと納得してくれました。
ただし、タイプの違いとは別に、立位時の重心が不安定だと動きはやはりぎこちなくなります。 重心が安定していれば、動作が多くてもスムーズに動けます。だからこそ、「立つ」から始めることが大切なんです。
椅子1脚で、キーパーが激変した
基本動作が整ったところで、いよいよゴールキーパーの課題に取り組みました。
使ったのは椅子1脚だけです。
椅子の上に立ち、キーパーの構えをして、ドスンと降りないようにそっと降りるだけ。 右足からも左足からも、どちらもそっと降りる練習をします。
これだけで、たった1分で激変しました✨
ボールへの反応が良くなり、ジャンプ力も上がって頭上のボールも止められるようになったので、経験者のお父さんに本気でシュートしてもらうと、バンバンブロックしだす息子さんに、お父さんが段々と本気モードに😲
目をつぶりながらも體はしっかり反応していて、お父さんから
「どんな魔法かけたの?」
という言葉をいただきました😆
辛い・苦しいトレーニングじゃなくていいんです。楽してパフォーマンスアップしました🤣
身体が緩まない時は「歪み」を疑う
柔軟性トレーニングをしてもなかなか緩まない場合、身体の歪みが原因のことがほとんどです。
セルフケアの軸体操で徐々に改善できますが、整体を施すと時短で改善でき、セルフではどうしても届かない部分にもアプローチできます。
今回の彼も左側の動きが柔軟性トレーニングでもうひとつだったので、その場で施術して整えてからトレーニングを続けると、より大きな効果が出せました。
この記録から伝えたいこと
「鈍臭い」と見えていた動きの裏に、親子で生まれ持った體の使い方の違いがありました。
「頑張っても取れない」ボールが、椅子1脚を使ったトレーニングで取れるようになりました。
そして「何度言っても出来ない」が、自分から繰り返す姿に変わったのです。
原因を正しく見極めると、子どもの動きはこんなにも急激に変わります。そして子ども自身が「出来た!」を積み重ねると、誰に言われるでもなく自分から動き始めます。
その瞬間に立ち会えることが、このトレーニング指導での一番の醍醐味です😊🤾

